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XVL 3次元ものづくり支援セミナー2010 事例講演

東京会場

XVLを活用した組立工程設計の効率化

三菱農機株式会社 開発生産本部 業務部 開発グループ 河本 雅史 様

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会社概要と3Dデータ活用

三菱農機は1914年に創業し、トラクターやコンバインなどの農機事業と汎用機事業を2本柱とする島根県に本社を置く会社だ。

3D CADはPro/ENGNEER WildFire4.0を使用しており、Viewerは、ここ数年3D活用業務においてXVL StudioやXVL Playerの利用が増加している。出図される図面の3D化の状況は、2D+3Dの両方で管理している図面が2009年時点で約6割、現在生産可能な部品の3D化率は約5割となっている。

組立工程設計へのXVL活用

「売れるスピードでのものづくり」が会社の方針として打ち出され、見込み生産方式から、受注生産方式に転換してきている。これまではロット生産ラインで、ロット単位の納入管理を行い、組立工法管理表を使って構成を判断していたが、複数の製品を同じラインで生産する混流生産ラインに変更したため、部品単位での納入と管理、そして組立BOMのシステム管理が必要となった。三菱農機では、設計ツリーと組立ツリーを切り分け、整合性をPDMで管理していこうとしている。

生産準備期間の短縮のために、工程設計から作業指示までのプロセスと作業標準(帳票)の作成と維持方法の見直しを行った。

工程設計から作業指示のプロセス

まず、工程設計のプロセスを検討した。従来のプロセスでは、設計が作成したCADデータから生成したビューワデータが公開されているにもかかわらず、図面の形状認識の補助や帳票の挿絵としての活用に留まり、十分に活用されていなかった。また、設計部門が組立図を出図すると、生産準備部門で生産性の検討を行い、組立工法管理表を作成する。これを受け取った製造は、工数配分や作業指示に取り掛かるというように、各部門は、前工程が作成する紙の帳票をトリガーに作業を開始するシーケンシャルな業務プロセスであり、フロントローディングは思うように進んでいなかった。そこで、工程設計のフロントローディング、組立図の運用見直し、XVLを利用した工程設計の3点について、検討と試行を開始した。

組立工程設計のフロントローディングと見える化

まず、各部門のメンバーで集まり、構想設計から生産技術での検討、製造準備までの事前検討を実施する上で、3Dの活用を前提としたタイミングと各部門の成果物を改めて整理,見直しを行い、XVLで組立工程設計を前倒しするために、部門間のコンセンサスを取っていった。

特に、設計から生産技術・製造への情報伝達手段である組立図は、どの部品をどの位置に、どのように組付けるかを指示した帳票だ。組立図に必要な部品配置と部品情報(属性)は、XVLで識別可能であるが、組立管理点などの情報は、図面内に点在しており情報の集約に苦労していた。そこで組立図の記載方法を整理しCADのカスタマイズで抽出及び、データベース化して組立管理点の情報を再利用しやすくするなど、対応を進めている。検討の中で、図面と3Dモデルの2つの情報源から情報を集める煩わしさなどから、3D単独図の必要性も担当者の発想としてあがってきた。最近、3D単独図に関するガイドラインなど各業界で取組みが進んでいるが、今後は3D単独図の有効性を具体的に検討していきたい。

組立工程の管理は、これまで、製品ごとに、工程別に記された組立工程管理表というExcelシートで管理されていた。このシートには、ある工程で使用する部品や部品属性、工数のほか、組立図にある組立管理点が手作業で転記されている。その工程の挿絵は、そのシーンを頭でイメージしながら、設計ツリーに対して部品の表示・非表示させ、組立アセンブリを表現するなど、効率が悪かった。ここにXVLの工程ツリーを活用し、工程設計の見える化を実現した。

XVL Studioで、設計ツリーから組立工程ツリーを作る際は、基本工程と工程用パートを利用して工程を定義し、部品を各工程に割付ける。そして工程の編集と属性の付加を行う。その後、Lattice3D Reporterのテンプレートを使って帳票化するというフローとなる。

従来の方法と新手法の一番の違いは、M-BOMを構築できるタイミングだ。従来の方法では、Excelで作成される組立工程管理表などの帳票すべてが完成してから、M-BOMの作成に取り掛かる方針だったが、XVLを使った新手法では、XVLファイルの中の工程情報を出力し、これをM-BOMの作成ベースとして使う方式に替え、生産準備期間の30%短縮を目標とした。

また、従来の手法では、工程検討は作業者が工程を考える段階では見ることができず、それをExcelで帳票としていくため、帳票の枚数が進捗の目安であり、手戻りも多かった。XVLを使った方式では、XVLの中に工程情報が含まれているために、3Dでビジュアルに工程を確認し、編集していくことが可能だ。

XVL Studioを使った工程作成のフロー

XVL Studioでの工程作成では、まず、工程の定義を行う。標準的な組立工程を基本工程として作る。

次に設計ツリー構成から、部品を各工程に割り付けていく。バリエーションの違いについては、設計変更反映機能を使って差分を見ることで対応している。また、三菱農機では、ひとつの製品を複数の担当者で分担して工程設計・工程検討を行っている。XVL Studioシリーズに新たに追加された工程のマージ機能により、分業がやり易くなり、効率化できた。

また、工程順の入れ替えや部品の追加などの編集をXVLを使うことで、ビジュアルに検討できるようになった。

さらに、工数や組立管理点、工数によるライン配分などの属性も、CSVでの入力や手入力などでXVLに情報を加えて運用を行っている。実際は工程の定義・割付・編集、属性の追加を繰り返すことで、XVLを使った組立工程設計を行う。

XVLの導入により、組立工程編集過程の見える化が実現できた。設計情報に加え、組立工程の情報という付加価値を持ったビューワデータにより、生産技術や製造部門が検討に使おうという認識に変わってきた。

作業標準(帳票)の作成と維持

作業標準(帳票)の作成については、作成の容易化と生産技術・製造での情報付加の役割分担を実現したいと考えた。

社内の帳票を調べると、生産技術部門で作る組立工程管理表と、製造部門で作る作業標準の情報がほぼ同じなど、役割が重複する帳票も見えてきた。これらを一本化することで、効率化を図った。

Excelへの追記や修正で、若干手作業が加わるところもあるものの、帳票作成の半自動化により、帳票作成作業の工数は75%の削減を、また、工程設計から帳票作成までのトータルの工数では60%の削減を見込んでいる。さらに、工程ごとの情報やその検討過程も見える化され、フロントローディングの手戻り削減効果も得られている。

現在は、作業標準に組立に必要なすべての情報が記載されているが、特に挿絵で意図する向きなどの人の意図を表す場合などでは、完全な自動化は難しいと考えている。これからは、Lattice 3D ReporterやXVL Web Masterなどを活用し、 部品表、QC工程表のような自動化しやすいものと、挿絵など人の手を加える必要がある作業標準などの帳票を切り分けることで効率化したいと考えている。従来は1つの帳票に情報がすべて載っていることが効率的であり、紙帳票への設計変更反映などの維持とメンテナンスに限界を感じていた。XVLを活用して工程設計をすすめると、組立帳票に必要な情報はXVLデータ内に持っているため、XVLを基にして帳票の作成をいかに自動出力して作成工数を削減できるかが重要だった。その面では、Lattice 3D Reporterのテンプレートオプションが役に立ったと感じている。

また、作成した帳票は紙で出力して運用しているが、XVLが組立に必要な情報をもっているため、ペーパーレスの実現や、工程つきXVLファイルの閲覧に切り替えていくことが理屈としては可能である。しかしながら、社内の運用や考え方を一気に切り替えることはまだ出来ていない。XVLの持っている情報を自動出力できるLattice 3D ReporterやXVL Web Masterなどの活用で、帳票作成にかかる工数をゼロに近づけていきたい。さらに、溶接工程表や、サプライヤ向け作業指示書などにもLattice3D Reporterの活用範囲を広げていきたいと考えている。

まとめ

これまでは、ビューワは設計の3Dデータを参照する道具だったが、今回の活動を機に、組立工程や組立ツリーの編集を容易に行える道具、つまり「Visual BOM Editor」とも言える存在になってきている。今後は一般的にPDM等で管理しているBOM情報を活用して、XVL Studioでバリエーションの表現が行えるように要望したい。こうしたBOMとのインターフェイスが実現できれば、さらなる工程表現の充実と業務の効率化につながると考えている。