イベントレポート

XVLものづくりセミナー 2012 in 大阪  講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

事例講演1

XVLで変えよう! 日本の製造業をALL JAPANに繋げる。
~最新の活用事例と,初公開となる3Dデータの2次活用~ =XVLで創る新たな世界。
3D化が進まない現実への,現場からの提案。

新潟原動機株式会社

福岡 和彦 様
技術センター プラントエンジニアリングG 製作・施工設計チーム
シニアアシスタントマネージャー

新潟原動機株式会社(以下、新潟原動機)は、IHIのグループ会社として2002年に設立されたものづくり企業。新潟に主力工場を展開し、主に大型のディーゼルエンジンやガスエンジン、ガスタービン、タグボートの推進装置などの設計開発および製造を手掛ける。

また同社は、XVLを使った3Dデータの先進的な活用を進める企業としてもよく知られている。同社 技術センター プラントエンジニアリンググループ 製作・施工設計チーム シニアアシスタントマネージャー 福岡和彦氏によれば、「設計部門が膨大な時間とお金をかけて作った3Dデータを、XVLによって社内の各部門でとことん活用して元を取る。こうした取り組みを、今まさに進めているところだ」という。

例えば、3D CADのデータをXVLに変換し、3Dの要領書を作成して社内の各部門で活用しているのがその一例だ。また、アルゴグラフィックスとラティス・テクノロジーを介して、他のXVLユーザー企業との技術交流にも積極的に取り組んでいる。

ただし福岡氏いわく、同社では決して技術的に高度で難しいことをやっているわけではないという。

「まずは、これまで3Dデータに接したことがない人たちに3Dデータを示してみて、どのような形でもいいから活用してもらうことに注力している。これを一度始めれば、自ずと会社の文化として根付いていく」(福岡氏)

ただしそんな同社でも、XVLによる3Dデータ活用は一朝一夕では根付かなかった。むしろ導入当初は、設計部門からは「3Dの図面なんて使えない!」という否定的な意見が多かったという。しかし、3Dの俯瞰図を生産現場に提供したところ、いつの間にか現場の掲示板に貼り出され、職人がこれを見ながら工事の進め方を検討するようになったという。これは、データを提供した側の意図とはまったく異なる使われ方なのだが、福岡氏は「3Dデータの使い方は、データを提供する側ではなく、現場が自然と決めていくものだ」と述べ、IT部門の一方的な思い込みではなく、現場でのニーズに沿ってシステムを考えることの重要性を説く。

例えば同社の生産改革チームでは、工場の内部を3Dモデル化し、人やモノの流れを可視化する取り組みを2007年から行っている。これは、工場の改装や増築時に、安全性などを確認するために3Dデータを活用したいという現場の声から、自然発生的に立ち上がったプロジェクトだという。また同社では、XVLをCGデータに変換し、よりリアルでリッチな3Dグラフィックスをユーザーに提示している。3D CADから直接CGデータに変換するよりはるかにデータ容量が小さくなるため、より手軽かつ快適にリッチな3Dグラフィックスを現場で活用できるようになったという。

このように、さまざまな現場で思い思いの使われ方がされている3DデータとXVLだが、同社はその使い勝手をさらに高めるべく、日立ハイテクソリューションズとアルゴグラッフィクスと共同で「XVL簡易版PLAYER」の開発に取り組んでいる。これは、既存のXVL PLAYERの使い勝手を高め、3D CADを触ったことがないユーザーでも直感的に3Dモデルを操作できるよう、独自のUIを実現したビューアツールになるという。

さらに同社では、3Dデータを基に発泡模型を作り、これをXVLのデータと突き合わせながらデザインレビューを行う取り組みも始めている。福岡氏は、「3Dのデジタルデータだけではなく、人が実際に手に取って触ることができる実物も合わせることで、より設計のイメージが湧きやすくなる。このような使い方も、3Dデータの将来的な可能性の1つだと考えている」と述べる。

最後に同氏は、「3Dデータによる業務改革は、初めのうちは社内の抵抗も多いが、信念を持って進めれば必ず道は拓ける。その際には、初めから全員にやらせようとするのではなく、まずは一部の変革意識の高い人たちを巻き込んでいくのがコツだ」と述べ、各々の組織で3Dデータの普及に取り組んでいるセミナー参加者たちにエールを贈った。

XVLものづくりセミナー 2012 in 大阪
講演レポート


導入事例の詳細などご不明な点はお気軽にお問い合わせください。