イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2012 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

XVL を活用した設計生産支援 ~ Vmech 活用事例を中心に

ウシオ電機株式会社
技術統括部 技術管理部 部長

三浦 真悦 様

ウシオ電機では、2004 年に富士通の iCAD を採用し、設計環境の全面 3D 化を実施している。その直後から、3D 設計環境への移行は順調に進んだものの、設計工程以外での 3D データ活用は思うように進まなかったという。特に、3D データによるハードウェアシミュレーション環境の導入は、一度は検討したものの、結局は導入候補となったソリューションが要件を満たさずに、断念せざるを得なかったという。

同社の商品は受注対応の都度設計品がほとんどであり、試作を繰り返すことができない。そのため、生産リードタイムを短縮する上でも、また出荷後の不具合に社内で迅速に対応するためにも、シミュレーション環境の整備が急がれていた。その間、三浦氏は独自にシミュレータ製品の選定を進めていたが、2011 年 2 月に iCAD データを XVL に変換するコンバータ ( iCAD SX to XVL Converter )の存在を知り、さらに XVL を活用した仮想メカトロニクスシミュレータ製品 「 XVL Vmech Simulator 」 ( 以下、Vmech )のデモを目にしたとき、「 これだ!」 と直観したという。

「 私はもともと、機械装置の制御ソフトウェアの開発に従事しており、独自にハードウェアシミュレータも作っていた。後に制御環境が PLC に移行し、自分で作ったシミュレー タが役に立たなくなってしまったので、PLC 環境でも使えるシミュレータ製品を探していたが、ちょうどそのころ Vmech のデモを初めて目にし、自身でシミュレータを作った経験からも 『 これは使える!』 と確信した 」(三浦氏)

折りしもちょうど同じ時期に、露光装置の開発部門で実機レスシミュレーション開発の計画があり、Vmech の導入には格好のタイミングだった。そこで同社は、2011 年 4 月にまずは XVL コンバータを、そして同年 7 月に Vmech を相次いで導入した。現在では、Vmech を使って露光装置の仮想メカ環境を PC 上に構築し、それに PLC の実機を組み合わせたシミュレーション環境を用いてソフト開発作業が可能になったという。

このシミュレーション環境を実現するに当たっては、社内で幾つかの対応作業が発生した。例えば XVL に変換した後、可動部分やセンサーの定義など、各種の機構設定作業を行いさらには、Vmech の機能だけでは満たせない要件も幾つかあったため、社内で対応するソフトウェアモジュールを開発した。それと同時にラティス・テクノロジー側でも、対応する PLC の種類を増やすなど、ウシオ電機の要望に応じて Vmech に何点かの機能追加を施した。

現在、同社の実機レステスト環境はまだ完成形にまでは至っていないが、三浦氏は 「 完成した際の効果は既に見えているので、その実現を信じて完全実機レスソフトテスト環境を目指す 」 と力強く話す。

さらに同社では、組み立て作業の手順を XVL データで 3D アニメーション化したマニュアルを作成し、製造組み立て現場で活用している。作業に入る前に、作業員にこのアニメーションを一通り見せ、さらに現場に PC を複数台置いていつでも参照できる環境を整えたところ、現場では極めて好評を博しているという。

最後に三浦氏は、「 これはあくまでも、個人的な経験に基づいた考えだが 」 と前置きした上で、組織内で IT 活用を推進するための幾つかのノウハウを披露した。

「 現場の改善のために IT 活用を推進する際、“ IT ” という言葉は意図的に使わないようにしている。『 それを使って何ができるのか 』 という観点に立って、必ず別の分かりやすい 言葉に置き換えて説明するようにしている。また、ユーザーの要望を丸呑みするのも危険だ。ユーザーが望むからといってむやみに機能を作り込んでも、コストがかさむばかりで、IT 導入の効果が相対的に薄れてしまう。さらに言えば、投資対効果を示すために必要以上に時間やコストを掛けるのも、多くの場合は無駄だと思う。直感的に 『 これは使える 』 と感じたものはすぐに試してみる。そういう柔軟さや俊敏さが、日本のもの作り復活のためには必要なのではないか 」(三浦氏)

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