イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2015 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

パートナー講演4

CAD・BOM連携およびナレッジマネージメントがもたらす
エンジニアリングチェーン革新

株式会社図研

上野 泰生 様
プリサイト事業部 常務取締役 事業部長

株式会社図研 上野 泰生 様

ポートフォリオの拡張を積極的に推し進める図研

日本を代表するもの作りITベンダー、株式会社図研。もともとはプリント基板用CADソフトウェアのベンダーとして出発した図研だが、同社 常務取締役 プリサイト事業部長 上野泰生氏によれば「祖業の『エレキCAD』に加え、極めて幅広いビジネスポートフォリオで、製造業各社に貢献している」という。

ラティス・テクノロジーとの業務・資本提携もその1つで、2010年にはXVLを介して3DとBOMの融合を図った画期的なソリューション「visualBOM」をリリースしている。また2012年からは製造業向けコンサルティング企業であるO2社と協業、さらに、ナレッジ活用ソリューションの事業も始めている。

2014年には東洋ビジネスエンジニアリング(b-en-g)と資本業務提携し、中堅企業向けERPパッケージ製品として国内シェアNo.1を誇る「MCFrame」と、図研のvisualBOMの連携ソリューションの提供を始めた。

B2B企業が今抱えてる課題とその解決に必要なITとは?

図研が注力するのは、もの作り企業の中でも特にB2B製造業の支援。上野氏は、さまざまな調査結果や統計データを紹介しながら、昨今のB2B市場の動向について次のように紹介する。

「コスト圧縮の施策がやり尽くされ、製品機能のトレンドや他社追随のスピードが早まる一方の昨今では、価格や性能、独自技術などは他社との差別化において大きな意味を持たなくなってきている。むしろ、設計・製造技術や生産の機能をいかに集結させるか、問題発見から対策までの時間を短縮するか、顧客にいかにきめ細かく個別対応できるか、といった点に重点が移りつつある」

また、B2BとB2Cの製品ライフサイクルやビジネス構造の根本的な違いも押さえておく必要があると同氏は指摘する。一般的に、B2Cでは製品コストや納期は予測できるが、B2Bでは予測が困難とされる。しかし上野氏は、「設計や生産のITをうまく駆使すれば、ある程度の予測は可能ではないか」と述べる。そして、同社とb-en-g社の協業では、まさにこの予測の実現を目指しているという。

PLMと生産管理の融合でより精緻な原価企画の実現を目指す

具体的には、visualBOMが担うエンジニアリングチェーン、すなわち3D&BOMの世界と、MCFrameが担うサプライチェーン、つまりERPの世界を密連携させることで、より精度の高い原価企画の実現を目指す。

これまで、設計者が原価を正確に把握できなかったために、「儲かると思っていたのに、作ってみたら赤字だった」といったことが頻発してきた。こうした事態を防ぐためには、「PLMシステムだけでは、プロダクトのライフサイクル全般をマネジメントできない。設計者がコスト意識をしっかり持てるようになるには、サプライチェーン側の情報を設計にフィードバックさせる必要がある」(上野氏)

XVLの3D部品データの中から形状が似通ったものを検索する技術などを駆使し、部品標準化を推進できる仕組みも原価低減には有効だろう。

図研とb-en-g社は資本提携し、さらに、こうしたソリューションを開発・展開するためのジョイントベンチャー企業、株式会社ダイバーシンクを2015年2月に設立した。今後はこの会社を通じて、CADとPLM(BOM)、そして生産管理をワンストップで提供する、これまでに例を見ないもの作りソリューションを提供していくという

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2015
講演レポート


ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。